中島敦と中原中也

中が多いタイトル(笑)・・・シンメトリック。

先日の朝日新聞に,2日間にわたって村上春樹氏のインタビューが掲載されていました。読まれた方も多いと思います。
僕も大いに興味をもって読み,その記事を切り抜いてスクラップしておきました。

ふと見返してみると,同じ文化面の隣りの欄に中島敦と中原中也の記事が。
ふたりの名前を目にして,僕の心は一気にタイムスリップ。

中島敦は現国教科書の定番。はじめは漢語調で取っつきにくいと感じたけれど,「山月記」「名人伝」を斬新に読み解く教師の深い洞察に思いっきり感銘を受けました。

中原中也はフランス文学に耽溺していた姉貴の影響が大きい。可愛い挿絵のついた小さな絵本が姉貴の本棚にあって,小さい頃一番好きだった。
今考えると「汚れちまった悲しみに」はまるでヌーベルバーグの脚本のようだし,「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」の響きはフェリーニのサーカス映画のBGMみたいだ(もちろん,中也の時代が先である)。

書店や図書館や友人との会話では,こんなハルキ→中也のような「偶発的」な出逢いがたくさんあったように思う。
今はWEB上で一発検索,主目的へ一直線に辿り着くしディープな情報も得られるけれど,その一方で寄り道とか横への拡がりが限られるようで哀しい気もする。

偶然は必然なのかもしれない。
偶発的な出逢いをもっともっと大切にしたいと痛感。


faire un mariage

友人が日記で「結婚観」について触れていました。
この機会に「結婚」そのものに対する僕の考えを少し記してみようと思います。

※結婚についての一考察。

以前,友人達と飲んでいた時,何かの弾みで結婚の話題になって,熱く激論を交わしたことがあります。
既婚者・未婚者に関わらず肯定的な意見が多かったのだけれど,「制度としての結婚」には批判が挙がった。
そのときの最終結論をひとことで言うと,「結婚とは,性の共産主義である」(過激ですねー)

20世紀は,経済上の社会主義・共産主義の隆盛と終焉の世紀であった。
21世紀はきっと,「性(広義では男女関係・人と人との絆)の共産主義」である結婚制度・家族制度は崩壊するのではないか?

ちょうど世紀が変わる頃,フランスでは結婚に代わる新しい制度である「PACS法」と呼ばれる法案が審議されていました。
「PACS」とは,フランス語で「連帯市民契約」の頭文字。
結婚と異なるのは,
・異性間だけでなく同性カップルも認められる。
・別れる際は一方的な通知のみでよい。相手の同意や裁判は必要ない。
同じなのは,
・税制上の優遇措置。
・子供の戸籍上の立場。婚外子にはならない。 

保守層には強硬な反対意見(倫理に反する,家族は国家の基盤であるなど)があったようです。
でも,既に産まれる子供の4割が結婚以外,というお国柄だけに,必要に迫られた制度なのかも知れません。

法律とか制度とか税制とか戸籍とか,そしてもっと言えば性別なんてものにも左右されずに,「この世界で出会ったふたり」として自由でいられたら,と思うのですが。(キザ?)

ミルト・ジャクソン『I’m Not So Sure』を聴きながら・・・
やっぴーでした。


世界文化賞2005

文学以外の芸術分野(絵画,彫刻,建築,音楽,演劇・映像)におけるノーベル賞,とも称される「高松宮殿下記念世界文化賞」。
2005年の受賞者が発表されました。

昨年度のオスカー・ニーマイヤーに引き続き,建築部門で受賞したのは我らが谷口吉生!
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の増改築プロジェクトが高い評価を得たようです。
これで日本人建築家の受賞は,丹下健三,安藤忠雄,槇文彦に次いで4人目。
ちなみに彫刻部門で三宅一生氏が受賞したのも嬉しいニュースですね。


NY 国連本部ビル

オスカー・ニーマイヤーが中心的に設計を手掛け(正式には建築家国際委員会設計),1953年に完成したNYの国連本部ビル。
完成から半世紀を経て,かなり老朽化が目立ってきているようです。

漏電によるぼや騒ぎがあったり,総会が雨漏り(!)で延期されたり。
空調システムは建設当時のままで,断熱材として使用されたアスベストまみれの施設もあるとか。
情報化のための設備も充分に確保できていないそうです。

ヒッチコックの映画『North by Northwest(北北西へ進路を取れ)』のファーストショットで燦然と光り輝く大理石とガラスの外装も,一皮剥けば「古びた遺産」と化しているのか・・・
建物の老朽化と,現在の国連の存在そのものが,まるでリンクしているようにも感じられます。
ロックフェラー一族が提供した土地に建っているというその出自にも複雑な気持ち・・・

大規模な改修計画が予定されているそうですが,半世紀前の思想をしっかり受け継いだリコンストラクションを是非お願いしたい。
そして,丹下の愛弟子,槇文彦氏設計による新国連本部ビルにも大いに期待してます。


Song For My Father

先週末3日間の放浪。
帰り際の出来事。
純粋にFamily Affairな話です。ドキュメンタリータッチなんでそのつもりで。

朝から歩く歩く。夕方,ホテルへ預けていた荷物をピックアップして,タクシーで浜松町駅へ向かう。
運転手さんと「貿易センタービル側は混みますよねー」などと世間話しながら芝公園沿いを走っていると,携帯に着信。珍しくお袋から。
涙声で「お父さんが入院した」
「!!!」
僕はかなり慌てていたんだと思う。
病院の名前も聞いていなかったし(または聞いたけど頭に残らなかった),タクシーを降りるときDMRの袋をひとつ忘れて運転手さんが階段の上まで追いかけてきた(ありがとう)。
空港からお袋の携帯へ電話するも病院内で電源オフらしく繋がらない。
フライト中,あらぬ想像ばかりがふつふつと湧いてきて落ち着かない。
親父はかなりハードかつ数奇な人生を送ってきた人で,とにかく我慢強い性格なのだ。それが急に入院?重いのか?意識はあるのか???・・・

着陸後,タクシーに飛び乗る。
病院の名前も分からないのに・・・と思っていたら,運転手さんがカーナビで実家近辺の病院を検索してくれた。電話番号も分かる。
かかりつけの病院の名前を思い出して,そこに電話すると・・・ビンゴ!!
そのまま高速でダッシュ。
9時頃病院に着いて救急外来へ。

お袋を発見。思わず「大変だったね」と抱きしめてトントンと背中をたたく。お袋に抱きつくなんて何年振りだろう?
で当の親父は,ベットの上で点滴中ながらもニコニコ。
良かったー・・・全身から力が抜けてヘナヘナ。
話を聞くと,この2,3日で急に体調が悪くなったので,自分で車を運転して(!)病院を訪れたとか。そして検査の結果「あなた即入院!」ってことになったそうで。
「白血球の値が増加」「右下腹部に強い痛みがある」
・・・ずばり虫垂炎の症状ですね。

そして,翌日曜日は救急車で転院して精密検査。
「虫垂炎。すぐ手術しちゃいましょう!」
外科医と麻酔医からしっかりインフォームド・コンセントを受けて,その1時間後にはもう手術開始。
「手術待合室」なるものに生まれて初めて入る。
持ってきた村上春樹の『東京奇譚集』を読んでいると,あっという間に手術終了。
外科医に呼ばれて,今まさに取り出してきた「虫垂」を見せられる。「ここが炎症を起こして・・・」
ちょうど奇譚集の『腎臓石』に差しかかっていたので,不思議なデジャブ感。
後で聞いた話では,親父はなかなか麻酔が効かなかったらしい(大酒飲みだから?)。
麻酔が効くまで,自分がダム建設技術者だった頃のケガの話を医師達としていて,それが外科医にはかなり興味深かったらしく,なかなか寝かせてくれなかったとか(笑)

術後も良好で,後は傷の快復を待つのみ。
仕事漬けの生活から抜け出せたと思ってゆっくり休んでください。


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